薬の飲み方について

食間とはいつですか?

食間とは「食事と食事の間の時間」を言います。おおむね食事後2~3時間を目安にするとわかりやすいでしょう。
胃腸に食べ物が入っていない状態で服用いただくことで、薬が吸収されやすくなります。「食事中」ではありませんので、ご注意ください。

 

薬を水やお湯以外で飲んでもいいですか?

お茶やジュース、コーヒー等は薬の働きに影響を与えることがありますので、水またはお湯で服用ください。

 

漢方薬でも副作用は起こりますか?

漢方薬でも副作用が起こることはあります。また、症状に合っていたとしても、配合成分によるアレルギーなどが起こる場合もあります。
服用後に、気分が悪くなる、湿疹が出る、症状の悪化など、不調が現れた場合には、服用を中止し、速やかに医師・薬剤師・登録販売者へご相談いただくことをお勧めします。

 

漢方薬の効能に「不眠」とあります。昼間に飲んでもいいですか?

漢方薬には西洋薬のように、急激に強い眠気を引き起こす成分は入っていません。日中に服用いただいてもすぐに眠くなるようなことはありません。
※不眠に用いられる漢方薬は、からだの状態を整え床に就いた時に自然に眠れる体を作っていくものです。

 

漢方薬と漢方薬でない薬を一緒に飲んでも大丈夫ですか?

組み合わせによっては、副作用が出る場合もありますので、詳しくは医師・薬剤師・登録販売者にご相談されることをお勧めします。
一般的に、飲み合わせに注意が必要と言われるのは、麻黄(マオウ)や甘草(カンゾウ)、大黄(ダイオウ)、硫酸ナトリウム(ボウショウ)などを含んだ漢方薬です。

【麻黄】(配合処方:葛根湯、麻黄湯、小青竜湯、防風通聖散など他多数)
エフェドリン配合製剤と併用すると、動悸・頻脈などが現れやすくなる可能性があります。
※エフェドリンが配合されることが多い薬…鼻炎薬、風邪薬、咳止めなど

【甘草】(配合処方:甘草湯、芍薬甘草湯など他多数)
グリチルリチン酸配合製剤などとの併用により、むくみや血圧などへの影響が現れやすくなる可能性があります。
※グリチルリチン酸が配合されることが多い薬…のどの薬、鼻炎薬など

【大黄(ダイオウ)、硫酸ナトリウム(ボウショウ)】
他の下剤と併用すると、下痢や腹痛が現れやすくなります。

#漢方まめ知識
グリチルリチン酸は、甘草の甘味成分です。薬用の他、調味料(めんつゆ・しょうゆなど)、漬物、タバコなどへの味付けとして、広く使われています。

 

「高齢者」とは何歳以上ですか?漢方薬を飲んでも大丈夫ですか?

添付文書中の高齢者とは、通常、65才以上を言います。

※一般的に、「加齢により、薬を代謝する働きが弱まると、副作用が出やすくなる」と言われています。
特に、甘草(カンゾウ)、麻黄(マオウ)などの生薬が、1g(1日量中)以上含まれる場合、法律上、添付文書に「高齢者は、服用前に医師、薬剤師又は登録販売者に相談してください」と記載しなくてはなりません。
しかし、体の機能には個人差があり「全ての高齢者にとって危険な薬」という意味ではありません。医師・薬剤師・登録販売者など専門の方とご相談いただいた上、薬が病気・体調に合っていれば服用いただけます。

 

漢方薬はどのくらいの期間、飲むと効きますか?

薬・体質によって効き目を感じるまでの時間は異なります。カゼ・胃腸炎など急性病に対しては比較的早く効くものが多く、1回の服用で効果を実感できることもあります。
体質改善などに使う場合は、まず1、2週間様子を見て、「何となく調子が良いな」と感じれば効き始めです。

継続服用で体質が変われば、薬を変えることもあります。医師・薬剤師・登録販売者など専門家と定期的にご相談いただきながら、ご服用ください。
 

漢方薬を服用する時の注意点※1

服用について

漢方薬の中には、その苦みなどの味や香りで胃の働きを活発にする目的で用いられるようなものもあります。多少飲みにくいと思っても、できるだけ水または白湯で飲むようにしてください。薬と相互作用を起こす可能性もありますので、牛乳やジュースなどで服用しないでください。違う薬局で購入した薬、あるいは病院で処方された薬との飲み合わせにより、予期せぬ反応が起こることもありますので、医師や薬剤師・登録販売者にご相談ください。

副作用については管理が必要

西洋薬に比べて少ないといわれていますが、漢方薬も医薬品なので副作用があります。また、まれに重篤化するものもあります。服用中に症状が悪化したり、気になる異常な症状が現れた場合には、速やかに主治医やお買い求めいただいた薬局・薬店にご連絡ください。そして、次にあげる方は服用前に医師や薬剤師・登録販売者にご相談ください。

(1)胃腸の弱い方
食欲不振、胃のもたれ、腹痛、軟便・下痢などが起こる場合があります。
(2)アレルギーのある方
薬や食物などでアレルギーを起こした経験のある人は、漢方薬でも起こる可能性があります。
(3)高齢者の方
肝臓・腎臓などの代謝機能が低下して、漢方薬に限らず薬の副作用が現れやすくなります。
(4)妊娠中の方
漢方薬が胎児に悪影響をおよぼしたという報告は、現在のところありませんが、不安なことは説明していただき、納得して服用することが大切です。
(5)以前に漢方薬で副作用の経験がある人
漢方薬の名前が異なっていても、過去に副作用を起こした漢方薬と同じ生薬が用いられている場合があります。

この他、お子さんが服用するときは年齢によって服用量が規定されています。大人と比べて感受性が強く、少量でも効果が発現しやすい場合があります。漢方薬を処方してもらう場合、体質やアレルギーの有無などを医師や薬剤師・登録販売者に必ず相談してください。

重篤な副作用

間質性肺炎
階段を上ったり、少し無理をしたりすると息切れがする・息苦しくなる、空せき、発熱等がみられ、これらが急に現れたり、持続したりする場合は、間質性肺炎の疑いがあります。小柴胡湯、柴朴湯、柴苓湯などが発症しやすいといわれています。

肝機能障害
発熱、かゆみ、発疹、黄疸(皮膚や白目が黄色くなる)、褐色尿、全身のだるさ、食欲不振等が現れる場合は、肝機能障害の疑いがあります。肝機能障害の治療に使われる小柴胡湯という処方で肝機能が悪化する場合もあり、経過観察の厳格化などが注意喚起されています。

偽アルドステロン症
手足のだるさ、しびれ、つっぱり感やこわばりに加えて、脱力感、筋肉痛が現れ、徐々に強くなる場合は、偽アルドステロン症の疑いがあります。構成生薬であるカンゾウの主成分グリチルリチン酸が原因であり、過剰服用や長期服用によって発症しやすいことが知られています。複数の漢方薬を服用するときには、それぞれの構成生薬のカンゾウの総量について医師や薬剤師・登録販売者に確認し相談しましょう。

※1【引用元】
日本漢方生薬製剤協会ホームページ
漢方ですこやか生活 https://www.nikkankyo.org/kampo/kampo4.htm