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ホルモンバランスを整える方法6選!乱れる原因と改善方法を解説

【この記事の監修者】

千田信子(薬剤師・国際中医師)

株式会社自然の薬箱 代表取締役。薬剤師としての長年の経験に加え、国際中医師として東洋医学の知識を活かし、多くの方々の健康をサポートしている。漢方薬や自然療法を取り入れた独自のアプローチで、心と体のバランスを整えることを目指している。現在は、漢方薬局での漢方相談の他、アロマやハーブ・薬膳などの講座、ヨガや気功などのレッスンの開催を通じて多方面で活動中。
【取得資格】
・薬剤師
・国際中医師
・ (公社)日本アロマ環境協会(AEAJ)認定 アロマセラピスト
・ AEAJ認定アロマテラピーインストラクター
・AEAJ認定アロマブレンドデザイナー
・yuica認定日本産精油スペシャリスト
・グリーンフラスコ認定J-herbマイスター

※監修者は記事執筆者とは異なります
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女性ホルモンは体調や精神状態に大きな影響を及ぼします。しかし、生活習慣やライフステージの変化、生理周期などによってホルモンバランスが乱れやすいのも事実です。

  • 最近なんとなく身体の調子が悪い
  • 生理不順に悩んでいる
  • 生理前後の体調の変化がつらい

そんな悩みを持っている方も多いのではないでしょうか。
そこで今回はホルモンバランスが乱れる原因と、安定させる方法について分かりやすく解説していきます。

ホルモンバランスとは

人間の体には100種類以上ものホルモンまたはホルモン様のものが存在し、消化や代謝など様々な機能に影響を与えています。血液中のホルモンの量はごく僅かですが、多すぎても少なすぎても健康に影響を与えることがあります。
女性ホルモンは卵巣で分泌されており、女性のこころや体を健やかに保つために非常に重要な存在です。
ホルモンバランスとは、一般的に2つの女性ホルモンの分泌バランスのことを指します。以下で詳しく解説していきます。

女性ホルモンの種類と特徴

女性ホルモンは、主に以下の2つの物質のことを指します。

  • エストロゲン(卵胞ホルモン)
  • プロゲステロン(黄体ホルモン)

エストロゲンとプロゲステロンは分泌時期も役割も異なりますが、互いにバランスを取りながら生理周期の中で増減を繰り返しています。それぞれの役割については以下の通りです。

エストロゲン

  • 役割:女性らしい体づくり
  • 多く分泌される時期:生理開始~排卵の間(卵胞期)

8〜9歳ごろから分泌が増え、思春期の乳房の発達や丸みのある体への変化を促します。それだけではなく、コラーゲンの育成を助ける、血管や骨を健康に保つなどの働きもします。さらに、自律神経の安定や子宮内膜の育成にも重要な役割を果たしており、女性が美しく健やかに過ごすために欠かせない物質です。

プロゲステロン

  • 役割:妊娠に適した体づくり
  • 多く分泌される時期:排卵~次の生理が始まるまでの間(黄体期)

排卵と同時に増えるのがプロゲステロンです。プロゲステロンが分泌されることで、子宮内膜が厚くなり体温も上がり、妊娠しやすい状態になります。また食欲が増進する、体が水分や栄養素を溜め込みやすくなるなどの作用もあります。「生理前はむくむ、太る」というのはプロゲステロンの分泌が原因なのです。妊娠しなければ、プロゲステロンとエストロゲンはともに減少し、厚くなった子宮内膜が剥がれ落ち、生理の際に出血として体外に出るという仕組みです。

ホルモンバランスのリズムを把握する方法

ホルモンバランスのリズムを把握するためには、基礎体温表をつけることをおすすめします。基礎体温は起床してすぐ毎日同じ時間に、横になったまま測定します。エストロゲンとプロゲステロンが生理周期内で正常に分泌されている場合は、

  • 低温期(生理開始から排卵期まで)
  • 高温期(排卵から生理開始まで)

の2期に分かれ体温差は約0.3度以上です。高温期と低温期の2つにしっかり分かれない、低温期が長く続く、高温期が短いなどの症状があれば、ホルモンバランスが乱れている可能性があります。近年では基礎体温を管理するアプリも多数リリースされているので、活用するのも良いでしょう。

以下は女性ホルモン周期をグラフで示したものです。

女性ホルモン周期のグラフ

ホルモンバランスが乱れる原因

なぜホルモンバランスが乱れてしまうのでしょうか。女性の身体は非常にデリケートで、日常のささいな出来事からも影響を受けます。ホルモンバランスが乱れる主な原因は以下の3つが考えられます。

  • 加齢
    年齢を重ね女性ホルモンの分泌量が減ることで、バランスが大きく乱れます。
  • 生活リズムの乱れ
    睡眠不足やバランスの悪い食生活は、ホルモンバランスを乱します。
  • ストレス
    ホルモン分泌の司令を出す脳の視床下部は、こころの影響を受けやすいため、ストレスや疲労はホルモンバランスに大きな影響を及ぼします。過度なダイエットや外気温の変動などが知らず知らずのうちにストレスとなり、ホルモンバランスを乱していることもあるのです。

ホルモンバランスの乱れによって起きる5つの症状

年齢や環境の変化、こころの不調など様々な要因によってホルモンバランスは乱れます。では、ホルモンバランスが乱れると心身にどのような不調が起こるのでしょうか。以下、ホルモンバランスの乱れによって起こりうる主な症状を5つ紹介します。

  • 生理不順や不正出血
  • 肌荒れや大人ニキビ
  • 月経前症候群(PMS)
  • 自律神経の乱れによる体調不良
  • 更年期障害

それぞれの症状について具体的に紹介していきましょう。

生理不順や不正出血

ホルモンバランスの乱れの影響を最も受けるのが生理周期です。成人女性の生理周期は25〜38日で出血は3〜7日間ですが、ホルモンバランスが乱れると以下の症状が起きる可能性があります。

無月経:生理が3ヶ月以上来ないこと。過度のストレスやダイエットなどが原因。
頻発月経:生理周期が短くなる。(約24日以内)
過少月経:経血の量が異常に少ない。
過多月経:経血の量が異常に多い。

また、生理ではない時期に出血する不正出血が起きる可能性もあります。不正出血は、ホルモンバランスの乱れから子宮内膜が刺激されていることが原因の1つと考えられています。ただし、不正出血の中でも排卵期に起こる排卵出血もあります。この場合は、生理的な現象ですので心配はいりません。

肌荒れや大人ニキビ

ホルモンバランスの乱れは、肌の状態にも影響を与えると言われています。
具体的な症状は、皮脂が活発に分泌される、毛穴周りの皮膚が厚くなるなどです。このような症状が起きると毛穴が詰まりやすくなり、大人ニキビや肌のくすみなどのトラブルにつながります。
また、コラーゲンの産生を助けるエストロゲンがうまく働かないと、肌のターンオーバーがうまくいかず乾燥肌や敏感肌というトラブルを引き起こします。

月経前症候群(PMS)

生理前3〜10日間続く精神的あるいは身体的な不調のことを指します。明確な原因は不明ですが、排卵から生理開始までの黄体期の後半に、エストロゲンとプロゲステロンが多く分泌されたのちに急激に減少することが原因の一部と言われています。

精神的な症状は以下の通りです。

  • 情緒不安定
  • 不安
  • 抑うつ
  • 集中力の低下
  • 眠気
  • 食欲不振または過食

身体的な症状は以下の通りです。

  • 腹痛、頭痛、腰痛などの痛み
  • むくみ
  • お腹や乳房の張り

精神的な症状が特に強い場合はPMDD(premenstrual dysphoric disorder/月経前不快気分障害)と診断されます。

自律神経の乱れによる体調不良

ホルモンバランスの乱れは、体内の動きをコントロールする自律神経にも影響します。自律神経は積極的に体を動かす交感神経と体を休める副交感神経の2つで成り立っていますが、これらのバランスが崩れると様々な不調の原因となるのです。

肉体的な症状では以下の通りです。

  • めまいやふらつき
  • 動悸や息苦しさ
  • 吐き気や胃の不快感

更年期障害

年齢を重ねエストロゲンが減少し、さらに心理的な要因や環境的な要因と重なると更年期障害が起こります。更年期障害の代表的な症状は、上半身ののぼせやほてり、急な発汗を引き起こすホットフラッシュです。その他にも精神的・身体的な様々な不調の原因にもなります。

ホルモンバランスを整える6つの方法

ホルモンバランスの乱れは、こころや体に大きな影響を及ぼします。ホルモンバランスを整えるために大切な6つの方法を、以下で紹介していきましょう。

バランスのとれた食事

栄養バランスの整った食事を心がけましょう。偏った食事はホルモンバランスの乱れだけでなく、貧血や肥満などの原因にもなります。タンパク質や炭水化物、ビタミンやミネラルなどのバランスが整った食事をとりましょう。

十分な睡眠

質の良い睡眠はホルモンバランスを整えるために欠かせません。睡眠の質が悪く翌日に疲れが残りやすい方は、ぬるめのお湯で20分ほど半身浴をすると眠りやすくなるので試してみてください。また、寝る前にカフェインを摂らないこと、スマートフォンやPCの画面を見ないことも大切です。

ストレスを溜めない

精神的なストレスはホルモンバランスに大きな影響を与えます。しかし、忙しい日常生活を送るうえでストレスを完全に排除することは、多くの人にとって難しいのではないでしょうか。そこで、ストレスを軽減させる発散方法を日常に取り入れることをおすすめします。ウォーキング、音楽や映画鑑賞、読書など何でも構いませんし、あえて何もせずぼーっとする時間も良いでしょう。自分にとって楽しく夢中になれる時間を1日10分でも作ると、こころが軽やかになります。

軽い運動やストレッチを行う

適度な運動は血行を促進させ、脳や生殖器官の働きを促すためホルモンバランスを整えるのに非常に効果的です。ランニングやウォーキングなどの有酸素運動が効果的ですが、運動が苦手な方やなかなか時間が確保できない方は、入浴後のストレッチやヨガから取り入れてみることをおすすめします。無理な運動はストレスになるため、1日数分程度の無理のない範囲から習慣化してみましょう。

無理なダイエットをしない

過度な食事制限などのダイエットは、ホルモンバランスを大きく乱し、生理不順や無月経などの要因にもなります。特に朝食の欠食は、生理不順や生理痛に影響する可能性が高いと言われています。ホルモンバランスのためにも、ダイエットは適度な運動とバランスの良い食事で行いましょう。

漢方を取り入れる

ホルモンバランスを整えてくれる東洋医学を取り入れるのも1つの方法です。特に漢方薬は身体全体のバランスを整え、ホルモンの働きを助けてくれる処方があります。中でも当帰芍薬散・加味逍遥散・桂枝茯苓丸は三大婦人漢方薬として有名で、更年期障害にも効果があると言われています。日常生活に取り入れやすいので、症状に合ったものから試してみると良いでしょう。

ホルモンバランスが乱れているときのスキンケア

先述したように、ホルモンバランスの乱れは様々な肌トラブルを引き起こします。エストロゲンの減少で乾燥や敏感肌の症状が起きている場合は、保湿をしっかり行いましょう。セラミドやヘパリン類似物質やヒアルロン酸などを含む化粧水や美容液で水分を与えた後、乳液やクリームで蓋をします。

大人ニキビができている場合は、無理に潰さず市販の薬を塗るか皮膚科を受診しましょう。ホルモンバランスが乱れると肌も敏感になるので、過剰なケアはせず敏感肌用の基礎化粧品に買い替えるなどして肌を労わってください。

【まとめ】生活習慣を見直しホルモンバランスを整えよう

女性の体はストレスや生理周期の影響を受けやすく、それによってホルモンバランスが乱れやすくなります。ホルモンバランスを整え心身共に安定させるためには、規則正しい生活を送ることが一番の近道です。食事の内容や睡眠時間を見直し、適度な運動を取り入れることで様々な不調が改善に向かいます。ホルモンバランスを安定させて、こころも体も健康な毎日を手に入れましょう!