知る・学ぶ

Column

わたしの健康学

ホルモンバランスの乱れによるニキビへの対処法とは?

【この記事の監修者】

千田信子(薬剤師・国際中医師)

株式会社自然の薬箱 代表取締役。薬剤師としての長年の経験に加え、国際中医師として東洋医学の知識を活かし、多くの方々の健康をサポートしている。漢方薬や自然療法を取り入れた独自のアプローチで、心と体のバランスを整えることを目指している。現在は、漢方薬局での漢方相談の他、アロマやハーブ・薬膳などの講座、ヨガや気功などのレッスンの開催を通じて多方面で活動中。
【取得資格】
・薬剤師
・国際中医師
・ (公社)日本アロマ環境協会(AEAJ)認定 アロマセラピスト
・ AEAJ認定アロマテラピーインストラクター
・AEAJ認定アロマブレンドデザイナー
・yuica認定日本産精油スペシャリスト
・グリーンフラスコ認定J-herbマイスター

※監修者は記事執筆者とは異なります
もっと見る
  • 生理前にニキビができやすい
  •  大人ニキビがなかなか治らない

こうした症状に悩んだ経験はありませんか?スキンケアに力を入れても改善しないのであれば、原因はホルモンバランスの乱れかもしれません。生理前はホルモンバランスが乱れ、ニキビをはじめとする肌荒れが起きやすくなります。

そこで今回はホルモンバランスの乱れとニキビの関係や、対処法について紹介します。

ニキビとは

ニキビとは、思春期以降に発症する慢性炎症性疾患です。細菌の増殖のほか、顔面・胸背部の(皮脂腺性)毛包で起こる脂質代謝異常、角質の硬化、細菌の繁殖などの原因が複雑に関与してできると考えられています。

ニキビを吹き出物と呼ぶケースもありますが、2つの区別はなく、双方とも「尋常性ざ瘡(じんじょうせいざそう)」という皮膚疾患の通称です。

ニキビは毛穴に皮脂が詰まり、炎症を起こした状態で、症状が重い場合は跡が残る可能性もあります。いわゆる背中ニキビをはじめとする体にできるニキビは、毛根が炎症を起こす「毛のう炎(毛包炎)」のケースも多く、その場合、顔やあごにできたニキビと対処法が異なることがあります。

ニキビの種類

ニキビは症状によって

  • 白ニキビ
  • 黒ニキビ
  • 赤ニキビ

この3種類に分けられます。

白ニキビは毛穴に皮脂が詰まり、患部が薄い皮膜で覆われているニキビの最初の状態です。詰まった皮脂が隆起して皮膜を破り、空気に触れ酸化し、黒くなると黒ニキビになります。そして、黒ニキビに細菌や雑菌が繁殖して炎症を起こすと赤ニキビに変化するのです。

ホルモンバランスとニキビの関係

ホルモンバランスとニキビは密接な関係にあります。ホルモンの中でも、特にニキビに影響するのは以下の2つと言われています。

  • 黄体ホルモン(プロゲステロン)
  • 男性ホルモン

黄体ホルモン(プロゲステロン)

女性ホルモンは黄体ホルモン(プロゲステロン)と卵胞ホルモン(エストロゲン)の2つから成り立っており、これらのバランスが乱れることを「ホルモンバランスの乱れ」と言います。黄体ホルモンは妊娠を維持するために欠かせない物質ですが、皮脂分泌を促す作用があるため、分泌量が増えると肌荒れの原因になります。黄体ホルモンは排卵期〜生理開始までの間に増加するので、いわゆる「生理前にニキビができやすい」という現象は、黄体ホルモンが原因なのです。

男性ホルモン

男性ホルモンは男性だけが分泌するものと思っていませんか?実は男性ホルモンは女性の副腎や卵巣から分泌されています。男性ホルモンは皮脂分泌を活発化させるだけでなく、角質を厚くする作用もあります。そのため、過剰分泌すると、顔の側面や口回りを中心にニキビができやすくなるのです。

その他のニキビや肌荒れになる原因

ニキビができる原因は、ホルモンバランスの乱れだけではありません。大人の女性に起こるニキビや肌荒れの原因を、5つにまとめました。

  • 生活習慣の乱れ
  • 食生活の乱れ
  • ストレス
  • 間違ったスキンケア
  • PCOS(polycystic ovary syndrome /多嚢胞卵巣症候群)

生活習慣の乱れ

大人の女性の肌荒れは、不規則な生活習慣が原因であるケースが目立ちます。以下の習慣や症状がある方は注意してください。

喫煙

たばこに含まれるニコチンはビタミンCを破壊し血管を収縮させるため、肌に酸素や栄養がいきづらくなります。そのため、ニキビやくすみ、老化の原因になります。

睡眠不足

睡眠が不足すると肌のターンオーバーの周期が遅れ、古い角質が残って肌荒れを起こします。また、成長ホルモンの分泌も悪くなるため、肌の再生がうまくいかなくなる恐れもあります。

食生活の乱れ

急激に血糖値が上昇するなど栄養の偏った食事は、ニキビを起こしやすくなるという説があります。 バランスの悪い食事が続くと、必要な栄養素がうまく取れず、肌の状態が悪化していく可能性があるのです。また食生活が乱れて便秘 になると、ニキビができやすくなります。食生活を整え、腸内環境を良くすることも意識しましょう。

ストレス

ストレスを受けると自律神経に影響を与え、バリア機能(免疫力)が弱くなるため、ニキビの原因になる菌を増殖させます。また、交感神経が優位になり、体内で男性ホルモンが増加しはじめます。前述したように男性ホルモンは皮脂分泌を活発にし、角質を固くする作用があります。弱った肌に、さらにそのような作用が働くことでニキビが増えやすくなるのです。

間違ったスキンケア

誤ったスキンケアが肌荒れの原因になっている可能性があります。考えられるのは以下の3つです。

  • 化粧品や洗顔料の洗い残し
  • 過剰な洗浄によるバリア機能の低下
  • 古い皮脂や角質

皮脂が気になるからと何度も洗顔したり、洗浄力の強い洗顔料を使うと肌に必要なうるおい成分やバリア機能を持つ皮脂膜 も取り去ってしまいます。すると、肌が過剰に皮脂を出そうとしたり、角質が固くなるなどのトラブルが発生します。またニキビをカバーしようと油分の多い化粧品を使うことや、ブラシやスポンジを洗わず雑菌が繁殖することも、肌荒れの一因になります。

PCOS(polycystic ovarian syndrome/多嚢胞卵巣症候群)

PCOS(多嚢胞卵巣症候群)とはpolycystic ovarian syndromeの略称で、卵巣で男性ホルモンが過剰に分泌されるため排卵が起きにくくなる疾患です。20~45歳の女性の5~8%に見られ、排卵されなかった卵胞が卵巣にとどまることからこのような病名が付けられました。PCOSの症状としてニキビだけではなく、生理不順や不妊、さらに肥満や多毛症などが知られています。

ホルモンバランスの乱れによるニキビへの対処法

ニキビの原因がホルモンバランスの乱れの場合、生活習慣を整えることで改善が望めるかも しれません。ます。中でも、以下の2つの対処法がおすすめです。

  • ストレスを軽減させる
  • 睡眠をしっかりとる

ストレスを軽減させる

ストレスは女性ホルモンのバランスを乱すだけでなく、男性ホルモンのアンドロゲンを増加させる作用もあります。その結果、肌荒れにつながります。

毎日の生活のなかで、できる限りストレスを溜めないよう心がけましょう。有酸素運動を日常に取り入れたり、ぬるめのお風呂に入る、アロマを嗅ぐといった方法も効果的です。流行りの「推し活」をするのもよいでしょう。

自分が心から楽しい、癒されると思う時間を1日数分でも作ることで、ストレスは軽減されます。

睡眠をしっかりとる

肌のターンオーバーを正常に行うためには、最低でも6時間の睡眠が必要です。さらに以下の習慣は、睡眠の質を高めると言われているため積極的に取り入れましょう。

  • 睡眠の前にスマホやパソコンなどのブルーライト を浴びない
  • ヨガやストレッチで副交感神経を優位な状態にする
  • ぬるま湯にゆっくり浸かる
  • 早起きを心がけ、早く眠るための生活リズムを作る

ニキビの治療方法

生活習慣を見直してもニキビが改善しない場合は、皮膚科で治療しましょう。一般的なニキビの治療法には、体の内側からの治療と、外側からの治療の2種類のアプローチがあります。

内側からの治療

内側からの治療は、2種類あります。1つ目は、ビタミン剤や抗生物質、漢方などの服用で 内側からの改善を目指す方法です。もう1つはピルの服用です。男性ホルモンを抑制するピルは、大人ニキビの改善につながります。

外側からの治療

塗り薬を患部に直接塗り、炎症を和らげ菌の繁殖を防ぎます。

【まとめ】ホルモンバランスの乱れを整えニキビや肌荒れを改善させよう

大人ニキビを起こす原因の1つであるホルモンバランスの乱れに対する最も身近な対処法は、生活習慣の改善です。生活習慣を改善してもニキビが治らない場合は、皮膚科で治療することを勧めます。ニキビのない肌で快適な毎日を過ごすため、できることから少しずつホルモンバランスを改善していきましょう。