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わたしの健康学

ホルモンバランスの乱れによる7つの症状とは?原因や整え方も紹介

【この記事の監修者】

千田信子(薬剤師・国際中医師)

株式会社自然の薬箱 代表取締役。薬剤師としての長年の経験に加え、国際中医師として東洋医学の知識を活かし、多くの方々の健康をサポートしている。漢方薬や自然療法を取り入れた独自のアプローチで、心と体のバランスを整えることを目指している。現在は、漢方薬局での漢方相談の他、アロマやハーブ・薬膳などの講座、ヨガや気功などのレッスンの開催を通じて多方面で活動中。
【取得資格】
・薬剤師
・国際中医師
・ (公社)日本アロマ環境協会(AEAJ)認定 アロマセラピスト
・ AEAJ認定アロマテラピーインストラクター
・AEAJ認定アロマブレンドデザイナー
・yuica認定日本産精油スペシャリスト
・グリーンフラスコ認定J-herbマイスター

※監修者は記事執筆者とは異なります
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忙しい日々の中、イライラや肌荒れ、生理周期の乱れといった症状で悩んでいる方は少なくありません。これらの症状の原因は「ただの疲れ」ではなく、女性ならではのホルモンバランスの乱れが深く関わっている可能性があります。

女性ホルモンのバランスは非常に繊細で、乱れると心身に様々な不調が生じるため、毎日のケアが大切です。今回の記事では、女性ホルモンのバランスが乱れる原因と具体的な症状、解決方法について解説します。

女性のホルモンバランスとは

女性のホルモンバランスとは、主に女性の体内で分泌される「エストロゲン(卵胞ホルモン)」と「プロゲステロン(黄体ホルモン)」の分泌バランスを指します。これらのホルモンは生理や妊娠、出産など女性の生理的なプロセスに大きな影響を与えます。それぞれのホルモンの役割は以下の通りです。

エストロゲン(卵胞ホルモン)

エストロゲン(卵胞ホルモン)は、女性の体を形成するために重要な役割を果たすホルモンです。乳房や子宮などに丸みを与えます。20代で分泌がピークに達し、更年期に入ると急激に分泌量が減少します。

プロゲステロン(黄体ホルモン)

プロゲステロン(黄体ホルモン)は、生理が始まって排卵が起こると増えるホルモンです。基礎体温を上昇させ、受精卵の着床を助ける役割を担います。妊娠していない場合、排卵後約1週間程度でプロゲステロンの分泌が減少します。

ホルモンバランスが乱れる原因

女性ホルモンの分泌は脳からの指令で制御されており、非常に敏感です。そのため、ストレスや不規則な生活、睡眠不足といった小さな原因でもホルモンバランスが乱れることがあります。

ホルモンバランスの乱れにより起こる7つの症状

ホルモンバランスの乱れにより起こる7つの症状は以下の通りです。

  • 生理不順
  • 生理痛
  • PMS(Premenstrual Syndrome/月経前症候群)
  • 不正出血
  • 自律神経失調症
  • 更年期障害
  • ニキビ

1つずつ解説します。

生理不順

成人女性の通常の生理周期は25〜38日、出血期間は3〜7日とされています。しかし、ホルモンバランスの乱れなどで「生理不順」が起こると生理が不規則になり、次の生理予定日が読みにくくなります。

生理周期の変化は個人差がありますが、異常を感じたら婦人科の医師に相談しましょう。

生理痛

ホルモンバランスの乱れがストレスなどで生じると、自律神経が影響を受け、その結果として血行不良が骨盤内で起こり、生理痛の原因になるとされています。生理時の下腹部や腰、背中などの痛みである「生理痛」には個人差があります。痛みが生活に支障をきたすほど強い場合は、医師の診断を受けることがおすすめです。

PMS(Premenstrual Syndrome/月経前症候群)

PMS(Premenstrual Syndrome/月経前症候群)は、生理前の3〜10日間に心身の不調が現れる症状を指します。発生原因は明確ではありませんが、女性ホルモンのバランスの乱れやストレスが影響を与えていると考えられています。

主にみられるのは、自律神経に関する以下のような症状です。

  • 食欲不振・過食
  • 倦怠感
  • めまい
  • イライラ
  • 情緒不安定
  • 不安
  • 集中力低下
  • 睡眠障害
  • 頭痛
  • 腹痛
  • 腰痛
  • むくみ
  • 乳房の張り

不正出血

不正出血とは、生理周期外に子宮から出血する症状を指します。ホルモンバランスの乱れなどによって子宮内膜が刺激され、剥がれて不正出血を引き起こします。

不正出血はホルモンバランスの乱れだけでなく、何らかの疾患が原因で生じることもあるため、不正出血が見られた場合には一度、医療機関を受診するのがおすすめです。

更年期障害

更年期障害とは、エストロゲン(卵胞ホルモン)の急激な減少が引き起こす不快症状です。症状には個人差がありますが、精神的および肉体的な影響があります。

更年期障害の典型的な症状には、頭痛、のぼせ、腰痛、発汗、不眠、動悸、イライラ、肩こり、めまい、気分の落ち込み、疲れやすさなどがあります。

ニキビ

生理が近づくと皮脂の分泌を盛んにするホルモンが増えたり、思春期には男性ホルモンが過剰分泌されたりすることがあります。こうしたホルモンバランスの変化は、皮脂の過剰な分泌を促して毛穴を詰まらせてしまうため、ニキビや肌荒れが生じやすくなります。

ホルモンバランスを整える3つの方法

ホルモンバランスを整えるためには3つの方法があります。

  • 生活習慣の改善
  • 運動をする
  • ストレスを解消する

ホルモンバランスを整える方法を正しく理解して、健康な体を目指しましょう。

生活習慣の改善

女性ホルモンのバランスを整えるためには、生活習慣を整え、健康を維持することが重要です。特に、睡眠が十分にとれていない、睡眠の質が悪いという場合は注意が必要です。毎日0時前には就寝し、7時間以上の睡眠時間がとれるよう心がけましょう。十分な睡眠を確保し、疲労を溜めないようにすることが大切です。

運動をする

適度な運動は自律神経を活性化させ、ホルモンバランスに良い影響を与える可能性があります。ウォーキングや散歩などの軽い身体活動でも十分な効果が期待できます。一日数分程度でも構わないので、毎日の生活に取り入れてみましょう。

ストレスを解消する

精神的および肉体的なストレスは、ホルモンの分泌に大きな影響を与えます。ホルモンバランスを整えるためには、日常を楽しむことも重要です。

趣味や音楽、アロマなどの楽しみを見つけて適度にストレスを発散し、リフレッシュする習慣を取り入れましょう。これらの他にも、心から笑ったり、時には泣いたりすることも有効です。

おすすめの漢方

漢方は、女性の不調に古くから用いられてきました。おすすめの漢方を3種類紹介します。

  • 加味逍遙散(かみしょうようさん)
  • 桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)
  • 当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)

1つずつ解説します。

加味逍遙散(かみしょうようさん)

加味逍遥散は、血 の循環を促進し、女性ホルモンの変動によるイライラなどの精神症状を緩和します。更年期障害よる心身症状にも効果があります。特に生理前の気分の落ち込みやイライラが強い方、更年期障害の症状に悩む方におすすめです。

桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)

桂枝茯苓丸は、血の循環を促進して、のぼせ、頭痛、肩こりがある人の、ニキビ、皮膚炎などの症状を緩和します。生理不順、生理痛、更年期障害、肌トラブルにも効果があります。

当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)

当帰芍薬散は、血の循環を促進し 、足腰の冷えを改善します。生理不順や生理痛の緩和にも効果があります。

生理不順やめまいなどの症状に悩む方におすすめです。貧血、疲労倦怠など産前産後あるいは流産による障害にも効能が期待できます。

【まとめ】ホルモンバランスの乱れによる症状は生活習慣で改善が期待できることも

女性ホルモンの乱れは、不規則な生活習慣やストレスなど様々な要因によって引き起こされていると考えられています。ホルモンバランスの乱れから生じる不快症状を和らげるためには、ストレスを溜めずに、質の良い睡眠をとるなど生活習慣を改善することが重要です。

また、必要に応じて適切に漢方を取り入れてみるのも良いでしょう。日々の生活習慣を整え、女性ホルモンのバランスを保ちましょう。